賃貸管理会社への不満が続くと、「そろそろ変えた方がよいのでは」と考えることがあります。空室が埋まらない、担当者からの連絡が遅い、修繕費が高いと感じるなど、きっかけはさまざまです。
ただし、管理会社を変えれば問題が解決するとは限りません。空室の原因が家賃や設備、市場環境にある場合は、会社だけを変えても同じ問題が続く可能性があります。
この記事では、管理会社へ確認したいことを12項目で整理します。確認済みの問題と未確認の事項を分け、改善依頼・他社比較・変更準備のどこから進めるかを考えます。重要な問題がある場合は、合計点より先に契約と事実関係を確認します。
管理会社を変更する目的は、賃貸経営上の問題を改善することです。
まず原因を切り分け、今の会社へ具体的な改善を求めます。それでも改善しない場合に他社と比較し、変更によって問題を解決できそうか確認してから切り替える方が合理的です。
結論|不満だけで管理会社を変えず「何が原因か」を先に確認する
空室が長い、管理料が高い、担当者の対応が遅いという理由だけで、すぐに管理会社を変更する必要はありません。まず現在起きている問題と、その原因を分けて考えます。
一方で、管理業務の実施状況を確認できない、改善を求めても具体的な対応がない、契約で決めた重要業務が繰り返し行われていないといった状態なら、他社比較を始める合理的な理由になります。
| 起きていること | 最初に確認すること |
|---|---|
| 問い合わせがない | 家賃、募集条件、掲載状況、市場とのズレ |
| 内見はあるが決まらない | 室内、設備、募集条件、現地の状態 |
| 空室原因の説明がない | 反響・内見・申込の数字を把握しているか |
| 管理料が高い | 基本業務、追加料金、年間総コスト |
| 修繕費が高い | 見積内訳、発注方法、承認ルール |
| 対応が遅い | 一時的な問題か、繰り返しているか |
原則|管理会社は「印象」ではなく契約と数字で評価する
担当者との相性は大切ですが、それだけで管理会社全体を評価すると判断がぶれます。まず契約で依頼している仕事と、実際に行われている仕事を照合します。
国土交通省の賃貸住宅標準管理受託契約書でも、管理業務の内容や実施頻度、管理報酬、管理に要する費用、定期報告の内容と頻度を整理する構成になっています。「何となく対応が悪い」ではなく、契約と実施状況を比べる方が問題を切り分けやすくなります。
賃貸住宅管理業法の定期報告義務が適用される管理受託契約では、報告対象期間、管理業務の実施状況、入居者からの苦情の発生状況と対応状況などを、最低限年1回報告することが法令上求められています。
また、標準管理受託契約書では、オーナーが必要に応じて管理業務の実施状況について報告を求め、関係書類の提示を求められる形が示されています。
空室や収益悪化では物件側の条件も確認する
空室が3か月続いているという事実だけで、「管理会社が悪い」とは判断できません。募集賃料、設備、室内状態、競合物件、市場の季節性なども成約に影響します。
管理会社が競合物件を調べ、家賃や募集条件の変更を具体的に提案しているのに、オーナー側がすべて見送っているケースもあります。この場合は管理会社変更より、物件条件の見直しを先に進めた方が問題解決に近づきます。
- 周辺の競合物件より募集賃料が明らかに高くないか
- 設備や室内状態に明確な競争力不足がないか
- 管理会社から出た合理的な改善提案をオーナー側で止めていないか
- 市場や季節によって需要そのものが弱くないか
当てはまる項目がある場合は、管理会社の問題と物件側の問題を分けて考えてください。
管理会社への確認事項を12項目で整理する
以下の12問について、契約書や報告書で確認した状況に近いものを選んでください。「未確認」は担当者への確認が済んでいない場合、「該当なし」は対象業務や案件がないと確認できる場合に選びます。これから所有物件を貸す人は、候補会社への質問にも使えます。
このチェックは、次に確かめることを整理する当サイト独自の確認用ツールです。管理会社の適法性や品質、変更の必要性を判定するものではありません。入力内容をこのツールから送信・保存する機能はありません。
確認した範囲で問題がない状態は0点、改善を相談したい状態は1点、記載した問題を確認した状態は2点です。未確認・該当なしは採点から除き、件数を別に表示します。空室があるだけでは加点しません。点数によるA〜D判定は行いません。
Q4・Q6・Q9・Q10・Q11で2点を選ぶと、合計点にかかわらず重要事項の確認を優先します。まだ問い合わせていない場合や対象か分からない場合は「未確認」を選んでください。
事故や設備の危険など急いで対応が必要なことは、このチェックを終えるのを待たず、管理会社の緊急窓口などへ連絡してください。
この診断は法律上の判定や管理会社の適法性を判断するものではありません。契約・金銭・法的トラブルがある場合は、契約書等を確認したうえで必要に応じて専門家へ相談してください。

12項目の回答から次の行動を選ぶ
| 回答の状況 | 確認先と次の行動 | 判断を保留する条件 |
|---|---|---|
| 重要事項で問題を確認 | 管理会社の責任者へ契約・報告・発注・送金の記録を求める。契約や金銭の争いは専門家にも相談 | 事実関係と対応方針が確認できるまで、低得点を理由に継続と決めない |
| 未確認の項目がある | 担当者へ対象業務と資料を確認。未依頼なら具体的な質問と回答期限を伝える | 回答前に問題の有無を決めない。確認済みの問題は並行して対応 |
| 確認した範囲で問題なし | 定期報告を続け、空室があるなら物件条件を確認 | 該当なしが多い場合は確認範囲が狭い。全体の品質を保証しない |
| 改善を相談したい項目がある | 担当者へ事実・希望する対応・回答期限を伝え、結果を再確認 | 改善依頼が未実施なら、まず回答を得る |
| 具体的な改善依頼にも対応がない | 依頼と回答の記録を整理し、同条件で他社提案を比較 | 引継ぎ先と契約上の手続を確認してから、変更時期を判断 |
課題点は、選んだ回答の内容を整理する参考値です。点数の合計や割合から管理会社の変更を自動的に決めることはできません。4領域それぞれの確認済み項目、未確認項目、該当なしの数を見て、必要な資料と質問先を整理してください。
確認した範囲で問題がなければ、継続しながら物件条件を見る
管理会社側の問題が少ない場合は、会社を変更する前に物件条件を確認します。募集賃料、設備、室内状態、初期費用などに改善余地があれば、そこを変える方が空室対策として直接的です。
管理会社が数字を共有し、改善案を出し、実施後の結果まで確認しているなら、空室があることだけを理由に変更する必要性は高くありません。
- 周辺相場と募集賃料の差
- 競合物件と比べた設備・室内状態
- 敷金・礼金・フリーレント等の募集条件
改善できそうな課題は、内容と期限を決めて依頼する
契約と実施状況を照らし合わせ、何が不足しているかを具体化して改善を依頼します。まだ依頼していないこと自体は、管理会社の不履行とは扱いません。
「もっと頑張ってほしい」ではなく、反響数を共有してほしい、修繕見積の内訳を確認したい、空室改善案を提示してほしいという形まで具体化することが重要です。
件名:○○物件の管理状況確認と改善提案のお願い
いつも○○物件の管理をご対応いただきありがとうございます。現在、○号室について○か月の空室が続いているため、現状を整理したうえで今後の対応を検討したいと考えています。
お手数ですが、○月○日頃までに、①現在の募集賃料・募集条件、②掲載媒体・募集方法、③直近の問い合わせ数・内見数・申込数、④現時点で考えられる空室原因、⑤今後考えられる改善策と必要費用、⑥修繕・設備改善が必要な場合の概算をご共有いただけますでしょうか。
あわせて、現在の管理業務の実施状況について確認したい事項があれば、管理報告資料等もご共有ください。内容を確認したうえで、今後の募集方針について一度相談できればと思います。よろしくお願いいたします。
費用の相談なら、上の依頼項目を「見積内訳、工事範囲、承認の記録、管理会社の手配報酬」に差し替えます。報告の相談なら「契約上の報告時期、未提出の対象期間、苦情への対応状況」を確認します。実際の契約と困っている内容に合わせて使ってください。
改善依頼への対応が不十分なら、解約前に他社と比較する
現在の管理会社だけで改善できるか不透明な段階です。ただし、先に解約してしまう必要はありません。
同じ物件情報を他の管理会社にも示し、どのような空室原因を想定するか、募集方法をどう変えるか、管理料と業務範囲はどうなるかを比較します。他社の提案を見ることで、今の会社の提案が弱いのか、それとも物件条件そのものが厳しいのかも判断しやすくなります。
比較して変更すると決めたら、契約と引継ぎを準備する
改善依頼の結果と他社の提案を比較し、変更で課題を改善できそうか確認します。変更すると決めたら、現契約の解約条件と新しい会社の管理開始日を合わせて準備します。
ただし、新しい会社を決める前に現在の契約を解約するのは避けます。新旧会社の引継ぎ期間を確保し、入居者対応や家賃回収に空白が生じないように進めます。
総得点に関係なく契約を再確認したいケース
次のような状態がある場合は、点数だけで「まだ変更しなくてよい」と判断せず、契約書を再確認したうえで他社比較や専門家相談を検討します。
- 法令上の定期報告義務が適用される契約なのに、確認しても必要な報告が行われない
- 契約上の重要業務が繰り返し行われず、改善を求めても変わらない
- 緊急時などを除き、契約上必要な確認なしに大きな費用負担が繰り返される
- 管理金銭や契約書類、管理状況について書面で確認を求めても状態を確認できない
これらは本記事だけで契約違反や違法性を判断する趣旨ではありません。契約・金銭・法的トラブルがある場合は、管理委託契約書や関係資料をそろえて専門家へ相談してください。
管理料への不満は「3%・5%」だけで判断しない
管理会社を変えたい理由が管理料の場合は、料率だけを比較しないことが重要です。3%の会社でも別料金が多ければ、5%の会社より年間負担が大きくなる場合があります。
基本料金に含まれる業務、追加費用、修繕関連費用まで含めて年間総額に直し、現在の管理内容と比較します。
管理会社を変更すると決めた後の5ステップ
他社比較の結果、変更によって現在の問題を改善できそうだと判断したら、契約と引継ぎを確認しながら進めます。変更を急ぐより、管理の空白を作らないことを優先します。
契約期間、解約予告期間、違約金、更新条件、引継ぎ事項を確認します。解約予告期間は一律ではないため、自分の契約書を正本にしてください。
現在の会社を解約する前に候補を決めます。管理料だけでなく、募集方法、空室対応、修繕、報告、解約条件まで比較します。
新管理会社の開始可能日と現契約の解約条件を合わせます。旧会社の管理終了と新会社の開始がずれないように日程を決めます。
賃貸借契約書、鍵、敷金等の管理状況、滞納状況、進行中の修繕や入居者対応などを整理します。何を誰が引き継ぐかを書面で確認しておくと抜け漏れを減らせます。
管理窓口や家賃振込先、連絡先など変更内容を適切に通知します。切替後は最初の家賃送金や問い合わせ窓口が正常に機能しているか確認します。
国土交通省の賃貸住宅標準管理受託契約書では、解約予告期間を「少なくとも○か月前」と契約ごとに記入する形式です。インターネット上の記事に「3か月前」と書かれていても、自分が締結している管理委託契約書を確認してください。
同じ標準契約書では、契約終了時に管理会社が物件関係書類や保管している金銭を引き渡し、家賃等の滞納状況を報告する形も示されています。
管理会社変更で失敗しやすい5つのパターン
- 新しい管理会社を決める前に現在の契約を解約する
- 最も高い査定家賃を出した会社を選ぶ
- 管理料の安さだけで選ぶ
- 書類・滞納・修繕などの引継ぎ事項を確認しない
- 変更後に改善したかを数字で検証しない
管理会社変更も一つの経営改善策です。会社を変えたこと自体をゴールにせず、空室期間、反響、管理コスト、対応状況が実際に改善したかまで確認します。
よくある質問
- 空室が何か月続いたら管理会社を変えるべきですか?
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空室期間だけでは決められません。反響・内見・申込のどこで止まっているかと、管理会社が原因分析や改善を行っているかを確認してください。同じ空室3か月でも状況によって判断は変わります。
- 担当者に不満があるだけでも管理会社を変えた方がよいですか?
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まず担当変更で改善できないか確認する方法があります。会社としての募集力や管理体制に問題がなく、担当者個人の対応が原因なら、会社変更より負担を小さくできる場合があります。
- 管理会社は契約途中でも変更できますか?
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契約内容によります。解約予告期間や中途解約に関する条件を管理委託契約書で確認してください。一律の予告期間ではありません。
- 管理会社の解約は3か月前に伝えればよいですか?
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必ず3か月とは限りません。国土交通省の標準管理受託契約書も「○か月前」と契約ごとに設定する形式です。実際に締結している契約書を確認してください。
- 管理会社を変更すると入居者との賃貸借契約も結び直しますか?
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管理会社変更と入居者との賃貸借契約は別の関係です。ただし管理窓口や家賃の支払先などが変わる場合は、入居者への案内と適切な引継ぎが必要です。
- 今の管理会社を解約せずに他社と比較できますか?
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他社の管理プランや見積りを確認してから変更を判断する方法があります。先に解約する必要はありません。比較した結果、今の会社を継続する判断になっても問題ありません。
- 一括比較サービスを使ったら管理会社を変更しなければいけませんか?
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変更を前提にする必要はありません。他社ならどのような提案になるかを確認し、現在の管理会社と比較するために使うこともできます。
まとめ|管理会社変更は「原因確認→改善要求→比較→変更」の順で考える
管理会社を変えるべきか迷ったとき、空室期間や管理料だけで判断する必要はありません。客付け、報告、費用、契約履行の4領域を12項目で確認すると、どこに問題があるかを整理しやすくなります。
未確認の項目は担当者へ資料を求め、確認した問題には内容と期限を決めて改善を依頼します。重要な問題は点数に関係なく優先して確認し、改善が見込めない場合に他社比較と専門家への相談を検討します。
変更によって何を改善したいのかを決め、その目的を実現できる会社かどうかを比較してから切り替える方が、賃貸経営上の判断として整理しやすくなります。
他社の提案も確認したい場合は、賃貸管理一括比較サービスの比較記事で、候補の集め方と提案の比較方法を整理しています。
