分譲マンションを貸す前に|管理規約・2種類の管理費・修繕積立金を確認

執筆・編集大家の管理見直し編集部公開日

分譲マンションを貸す前は、建物全体の管理規約と、自分の部屋を貸すための管理契約を分けて確認しましょう。毎月の支出も、管理組合へ払う管理費・修繕積立金と、賃貸管理会社へ払う管理委託料の3つに分けると、抜けや二重計上を見つけやすくなります。

この記事は、すでに持っている分譲マンションの一室を住宅として貸す所有者向けです。管理費の違い、貸与時の届出、室内工事、連絡窓口を具体例で比較します。住宅ローンが残る場合は借入先への確認も必要で、管理組合の手続きが済んだだけでは貸出条件を満たしたことになりません。

手元の現行規約と細則が確認の出発点

国の標準管理規約は、規約を作成・改正するためのひな型です。自分のマンションに自動的に適用されるわけではありません。管理組合側の窓口から現行規約・使用細則・必要な届出様式を取り寄せ、改正の有無も確認しましょう。

目次

2種類の管理費と修繕積立金は、支払先と目的が違う

費用支払先・目的空室時と金額の確認収支での扱い
管理組合の管理費管理組合。共用部分などの通常の管理に使う空室でも原則として所有者の負担は続く。現行規約・請求書で金額を確認賃貸管理料と分けた固定的な支出として整理
管理組合の修繕積立金管理組合。計画的な修繕などに備える空室でも原則として負担は続く。増額予定や一時金の予定も確認管理費とは別に整理。室内設備用に自分で準備する資金とも区別
賃貸管理の管理委託料所有者が依頼する賃貸管理会社。入居者対応や家賃管理などの契約業務への対価定額・料率・最低額・空室時の扱い・税込額を契約で確認見積もりの算定条件に従う。管理組合への支払いと混ぜない
管理組合へ払う管理費と修繕積立金、賃貸管理会社へ払う管理委託料を分けた図

国土交通省の標準管理規約では、管理組合に納める管理費と修繕積立金を区分して定めています。実際の金額や改定時期は、自分のマンションの資料で確認してください。募集広告で借主に示す「管理費・共益費」は、管理組合への支払額と一致するとは限りません。借主から受け取る条件と、所有者が支払う条件を別々に確認しましょう。

根拠は国土交通省「マンション標準管理規約」の令和7年改正版です。単棟型の第25条から第28条が費用を定めています。以下の表は、自分の物件の書類を照合するための例です。

「管理費込み」の説明を、そのまま収支に入れない

提示や資料の例分かったことまだ確認すること
管理組合の月額請求書に管理費と積立金が別記建物側へ払う2つの支出が把握できる今後の増額・一時金、駐車場等の別請求の有無
賃貸管理の見積もりが「家賃の一定割合」だけ算定方法の一部が分かる共益費を含むか、税、最低額、空室時、募集・更新などの別料金
募集案が「家賃・共益費込み」入居者に示す合計条件の案がある管理組合への支払額とは別に、所有者へ入る額と支出を整理する
修繕積立金を払っているので室内修理は不要と言われた費用の対象を混同している可能性がある室内設備と共用部分の区分、修理の窓口・負担を規約と契約で確認

賃貸管理の料率や別料金の見方は、管理委託料の比較方法で確認できます。ここでは金額の相場で決めず、管理組合の請求と賃貸管理の見積もりを別々に揃え、両方が継続支出に入っているか見直しましょう。

貸与・工事・共用施設は、募集条件を決める前に確認する

確認する箇所相談場面の例確認先と判断
用途と使用細則住居として募集したいが、事務所利用も認めるか迷う管理組合側へ用途制限を確認。認められると確認できない用途は募集条件に加えない
貸与時の届出・誓約書借主が決まったら何を出すか分からない届出様式、提出者、提出時期を管理組合側へ確認し、賃貸管理会社と担当を決める
入居者への規約共有ペット・楽器・ごみ出しの条件が募集図面にない現行の条件を募集会社へ渡し、入居前の説明資料と契約条件に反映してもらう
専有部分の工事床を張り替えてから貸したい工事申請、承認、遮音等の仕様、作業時間を管理組合側へ確認。必要手続きが済む前に着工しない
鍵・共用施設オートロックキーや宅配ボックスを借主が使う鍵の発行、利用登録、費用、退去時の返却を確認。室内鍵だけの準備で終えない
駐車場・駐輪場所有者が使っていた区画を「駐車場付き」で募集したい貸与後の利用資格や再契約、空き状況を管理組合側へ確認。引継ぎを約束する前に確かめる
所有者の連絡先転居後は管理組合の郵便を受け取れない送付先・緊急連絡先・代理人等の届出要否を確認し、連絡が途切れないようにする

標準管理規約の第19条は、貸す際の規約・使用細則の遵守や届出等を定めています。工事には第17条などの規定もあります。実際に必要な書類や承認の範囲は、現行規約と工事内容を示して確認してください。修繕会社が「施工できる」と答えたことと、管理組合側で必要な手続きが済んだことは別です。

とくに駐車場は、所有者が使っている区画を借主がそのまま使えると考えないようにしましょう。貸与時の扱い、使用契約、利用資格を先に確認すれば、募集後の条件変更を避けやすくなります。

管理組合側と賃貸管理側で、連絡する内容を分ける

相談・連絡の内容最初に確認する窓口所有者が確かめること
管理費・積立金、規約、共用施設管理組合側の管理会社・管理事務所など受付窓口と決定権者は同じとは限らない。規約上の手続きと回答者を確認
家賃、入居者の連絡、更新・退去所有者が依頼する賃貸管理会社委託契約に含む範囲、別料金、所有者の承認が必要な事項
室内設備の故障契約で定めた入居者対応窓口・賃貸管理会社原因調査、工事の見積もりと承認、共用部分との関係
漏水など複数住戸に関わる事故緊急連絡体制に従い、賃貸管理側と管理組合側の双方被害拡大を防ぐ連絡・手配の担当。原因や費用負担を受付段階で断定しない
管理組合からの議案・工事の案内所有者本人が受け取れる連絡先賃貸管理会社に委託しても、議案への対応まで任せているとは限らない

同じ会社が両方の管理を行っていても、契約と担当部署が分かれることがあります。「管理会社には伝えた」で終えず、どの担当者が何を受け付けたか確認しましょう。緊急時は連絡順と不在時の連絡先を、所有者・賃貸管理会社・管理組合側で共有できる形にしておきます。

資料を揃えてから募集へ進む4段階

STEP
現行規約と借入条件を確認する

貸出に関わる規約・細則を取り寄せます。残ローンがある場合は借入先にも相談します。

STEP
工事と貸与の手続きを確認する

必要な申請、承認、届出、入居者への説明を整理し、書類の提出や説明を誰が担当するか決めます。

STEP
所有者が払い続ける費用と委託費を分ける

管理費、修繕積立金、賃貸管理料、別料金を揃え、空室時も含めて確認します。

STEP
募集条件と連絡体制を固める

利用できる施設や設備、禁止事項を募集・契約の説明に反映し、入居前の手続きを進めます。

貸出条件が揃ってから依頼先を探す場合は、賃貸管理・家賃査定サービスの対象を比較する記事を参考にしてください。規約や工事条件が未確認なら、まず管理組合側の窓口への確認を進めましょう。

分譲マンションを貸すときのよくある疑問

管理組合の管理会社に、部屋の賃貸管理も頼めますか?

別途受け付けている会社もありますが、建物全体の管理契約だけで自分の部屋の賃貸管理まで依頼したことにはなりません。受託の可否と業務・費用を確認し、個別の契約を見て判断しましょう。

借主に管理費を払ってもらえば、所有者の負担はなくなりますか?

借主との費用設定と、管理組合への納入義務は分けて確認してください。空室や未入金を含めて、所有者側から必要な支払いを継続できる資金を考えましょう。

最新の標準管理規約を読めば、自分の規約は確認しなくてもよいですか?

標準管理規約はひな型です。自分のマンションの現行規約・細則・改正内容を確認してください。規約の解釈や法令との関係が分からなければ、管理組合側や適切な専門家に相談しましょう。

分譲マンションの貸出準備では、手元の規約、建物側への支払い、賃貸管理契約の3つを並べて見ると整理できます。最初に管理組合側へ現行資料と貸与手続きを問い合わせ、確認できた条件を賃貸管理会社へ渡しましょう。

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